Jamstack(ジャムスタック)とは、優れたパフォーマンスとセキュリティを兼ね備えたWebサイトを構築するためのWebサイトアーキテクチャの一つです。
(Webサイトアーキテクチャとは、サイトの仕組みを設計するための設計図のようなものを指します)
Jamstackは2016年ごろから注目を集め、現在では多くのサイトで採用されています。
私自身も日々Jamstackを使った開発を行っており、このサイトもJamstackで作成しています。
今回は、Jamstackについて全く知らない方や初心者向けに、わかりやすく解説します。
Jamstackとは何か?
Jamstackは、従来のWebサイトの仕組みのデメリットを解決するために開発されたWebアーキテクチャです。
ちなみに、「Jamstack」という名称はもともと「JavaScript」、「APIs」、「Markup」の頭文字を取ったものです。
これらがJamstackの基本構成要素として定義されていましたが、近年ではJamstackの定義が広がりつつあり、必ずしもこれらの要素に限定されないことが増えています。(この辺りのことを解説すると、かなり専門的な内容になるので、今回は省略します。)
Jamstackでは、あらかじめ生成された静的ファイルを使用して、サーバーレスでコンテンツを配信するため、セキュリティ、パフォーマンス、スケーラビリティが飛躍的に向上します。
さらに、クライアントサイドでJavaScriptを利用し、APIを通じて動的なデータを取得することで、ユーザーとのやり取りが可能なコンテンツを提供できます。(この辺りも専門的な内容なので、初心者の方はわからなくても大丈夫です。ひとまず従来の方法とは違う新しい方法にすることで、セキュリティやパフォーマンスがとても良くなっているということがわかってもらえればOKです。)
このような特性により、高速な表示速度と優れたユーザー体験が実現され、検索エンジンからの評価向上にもつながります(SEO対策としても効果的です)。
そのため、ブログやポートフォリオサイト、キャンペーンサイトやコーポレートサイトなど、さまざまなサイトに幅広く活用されています。
従来のWebサイトの仕組みと問題点
従来のWebサイトは、ユーザーからのリクエストに応じて、サーバー側で動的にページを生成し、その結果を返す仕組みです。
この方法は、特定のシナリオでは有効ですが、以下のような問題点があります。
- サーバー依存: サーバーが停止すると、サイト全体が表示されなくなります。
- セキュリティリスク: サーバーやデータベースが攻撃を受けるリスクが高く、特に個人情報が流出する可能性が懸念されます。
- パフォーマンスの課題: ページの生成に時間がかかるため、ユーザー体験が損なわれることがあります。
これらの問題を解決するために登場したのがJamstackです。
Jamstackの仕組みとメリット
Jamstackでは、ユーザーのリクエストに応じてページを生成するのではなく、事前に全てのページを生成しておき、それらをCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)経由で配信します。
このアプローチにより、以下のようなメリットが得られます。
- 信頼性の向上: Webサーバーのトラブルに強く、大量のアクセスにも耐えることができます。サーバーがダウンしても、静的ファイルがCDNから配信されるため、サイトが常に表示可能です。
- セキュリティの強化: サーバーやデータベースが攻撃されるリスクが大幅に低減され、Webサイトの改ざんや個人情報の流出などを防ぐことができます。
- 高速なページ表示: 事前に生成された静的ファイルがすぐに配信されるため、ページの表示速度が非常に速くなります。これにより、ユーザーのストレスが軽減され、サイトの離脱率が低下します。
- スケーラビリティ: Jamstackは、グローバルなユーザーに対しても一貫したパフォーマンスを提供することができ、大量のアクセスにも柔軟に対応可能です。
- 環境やデバイスを問わない: 軽量なページを提供できるため、インターネット接続が遅い環境でも快適に閲覧できます。スマホやタブレットなど、さまざまなデバイスからのアクセスにも対応します。
- SEO対策: 高速なページ表示と優れたユーザー体験は、Googleなどの検索エンジンにも評価され、検索順位が向上しやすくなります。さらに、事前に生成された静的ファイルは、検索エンジンにとってクロールしやすく、コンテンツの理解が容易です。
これらのメリットにより、Jamstackは非常に注目されています。
Jamstackが提供する具体的なユースケース
Jamstackの強みは、その柔軟性と拡張性にもあります。例えば、以下のようなケースで効果を発揮します。
- Eコマースサイト: 高トラフィックなサイトでも、Jamstackを利用することでスムーズなユーザー体験を提供できます。また、セキュリティが強化されるため、顧客データを安全に保護することができます。
- 企業のコーポレートサイト: 企業の信頼性を高めるために、常に安定して表示されるサイトが求められます。Jamstackなら、ダウンタイムを最小限に抑え、ユーザーに常に情報を提供できます。
- ブログやポートフォリオ: 高速なページ表示は、訪問者に良い印象を与え、エンゲージメントを高める効果があります。さらに、静的サイトジェネレータを活用することで、SEO効果も期待できます。
Jamstackのデメリット
Jamstackには多くの利点がありますが、全てのプロジェクトに適しているわけではありません。以下のようなデメリットも考慮する必要があります。
- 学習コスト: Jamstackは比較的新しい技術であり、従来のWeb制作に必要な知識に加えて、SSG(Static Site Generator)やAPI、ヘッドレスCMSなどの理解が求められます。また、プロジェクトによってはReactやVue.js、さらにはTypeScriptなどのモダンJavaScriptフレームワークの知識が必要になることもあります。
- 開発時間: 高い柔軟性を持つ一方で、ゼロからコードを書く必要があるため、特に未経験の機能を開発する際には時間がかかることがあります。また、想定していなかったエラーやバグに直面する可能性もあるため、プロジェクトのスケジュールには余裕を持たせる必要があります。
まとめ
Jamstackは非常に優れたアーキテクチャであり、特にパフォーマンスやセキュリティが重要なプロジェクトにおいて大きな利点があります。
しかし、日本ではまだ広く採用されていません。
その最大の原因は学習コストの高さです。
それでも、最新のIT技術に興味を持ち、学び続けることができるエンジニアにとっては、非常に有用なツールとなるでしょう。
私自身も日々学びを続けており、このブログではこれからも最新のIT技術について紹介していく予定です。
ぜひまたお立ち寄りください。
今回の記事ではSEOやWebに関することがたびたび出てきました。
この辺りの基本的なことは以前のブログに書いていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
- Webとは?Webエンジニアが語るWebの基礎知識とトレンド
(https://clip77.com/blog/what-is-web/) - SEOの鍵はユーザー目線!基本から学ぶ効果的なSEO対策
(https://clip77.com/blog/what-is-seo/)